今回登ってきたのは唐松岳!以前に五竜岳まで縦走を楽しんできて以来の唐松岳です。冬の唐松岳は、八方池山荘のある標高1,830mまで文明の利器で一気に上がれるため、3,000m級の北アルプスであっても日帰りが十分可能です。
しかしそこは冬の山、悪天候時は容赦なく牙をむく難しい山でもあります。以前、私に登山を教えてくれた先生に冬の唐松岳に登りたい!って相談したら「お前にはまだ早い(怒)」とビシッと止められました。
お、日曜日はドピーカンなのかもしかして… pic.twitter.com/MPjSHdRhWu
— たけめ まえかわ@波よ来い 6発程来い (@maekawamaekawa) 2019年2月22日
でも先生、
こんな良い天気だったら登ってきても良いでしょ!?
だからあの世から見守っててちょうだい!
って自分勝手にお願いして登ってきたら、それは素晴らしい景色を眺めることができました。ということで今回は、絶景の冬の唐松岳の様子をご紹介。
冬の唐松岳の登山プラン
八方尾根スキー場〜八方尾根ルートの単純往復
冬の日本海側、後立山連峰は、なかなか好天にならず日本海側からの季節風が強く吹き付ける厳しい環境です。
そんな厳冬期の唐松岳への登山ルートは、一番無難な八方尾根スキー場からの八方尾根ルートを選択しました。やっぱり人の行き来が一番多いルートを選んだ方が安全でしょう。
冬の唐松岳のコースタイム計画
想定コースタイムとしては、夏の標準コースタイムである登り3時間50分下り2時間半の2割増で、
出発地 | 行程 | 想定コースタイム |
八方尾根スキー場 | 八方池山荘〜唐松岳〜八方池山荘(ピストン) | 7時間半 |
- 登り 4時間半
- 下り 3時間
で計画を立てました。実際は休憩含めた総行動時間は5時間あまりでしたが余裕を持った計画は必須でしょう。
冬の唐松岳は道迷い遭難多発
冒頭に書いた通り、八方尾根ルートなら標高1,830mまで一気に上がることができるので、唐松岳までの標高差はおよそ900m。数字だけ見るなら比較的カンタンな唐松岳ですが、2019年に入ってからすでに2件の道迷いの遭難が発生しています。(2019年3月1日現在、バックカントリースキー原因を除く)
後立山連峰は、冬の日本海側気候のため天候が不安定であり、地形的にも強い季節風が吹き付けます。また、およそ広めな登山道が仇となって、悪天候時は道迷いしやすいです。
GPSや地図での現在位置の把握、そして万が一の際の準備を含めしっかりとした装備で臨みたいところです。
舐めてると簡単に死にます。
唐松岳の駐車場は八方尾根スキー場がおすすめ
唐松岳の八方尾根ルートの場合は、八方尾根スキー場の駐車場が一番手軽です。
【参考リンク】駐車場案内|八方尾根スキー場
ゴンドラ駅近くは有料ですが、それ以外の周りの駐車場は(のら駐車場以外は)どこも無料です。しかしここは長野オリンピックの会場にもなった八方尾根スキー場、モタモタしてるとあっという間に満車になります。早めの行動が吉でしょう。
おはようございます。八方尾根スキー場のチケット売り場にやってきました。ここへは五竜岳への縦走の時以来かな。
それにしても先程のチケット売り場で聞こえる言葉は英語やら中国語ばかり。びっくりするくらい日本語が聞こえてきませんでした。名古屋にいると全く実感ないのですが、やっぱりインバウンド需要はデカそうですね。
ゴンドラやリフトを乗り継いだ先には白馬三山。何度見てもウットリしちゃう(^^)
白馬岳の左肩には冬季閉鎖中の白馬山荘、また栂池高原まで縦走したいなぁ。
そして不帰ノ嶮、難所ではあるけれど、ここも前々から行ってみたいと思っている場所。
誰も歩いていないであろうアイスバーン。きっとカッチカチに凍っていて、太陽の反射が美しくもあり恐ろしくもあり。
それにしたって、これだけ晴天な2月の後立山連峰はまず稀なはず。
なかなかなのを引き当てたんじゃないでしょうか、しっかり楽しまなきゃね♪
まだ遠くに見える唐松岳山頂には人影がチラホラ。そこからの景色もきっと素晴らしいんだろうな、楽しみだ。
そして八方池ケルン。
その八方池は雪の下。そりゃそうよね埋まっちゃうよね。
タケカンバの林のところまで登ってきました。皆さん休憩しています。
その脇でテント泊!夜は何度くらいになるんでしょうかね…
振り返ると左側には火打山や妙高山、台形な山が高妻山。いい景色だ。
そして五竜岳と鹿島槍ヶ岳。リフトからずっと見えていた、あの特徴的な双耳峰の鹿島槍ヶ岳はこの辺りで一旦のお別れ。鹿島槍ヶ岳へもいつか登ってみたいなぁ。
それにしても、当日はド晴天なのもあるのですが、風すらほとんど吹いておらずでとにかくクソ暑い!肌着1枚でちょうど良いくらい。
と、暑い暑いと登っていたら、風が吹き付ける場所に出くわす。風が吹き付ければ2,000mオーバーのこの場所では一気に体が冷える。
寒い寒い言いながらシェルを着る。やっぱり雪山は難しいな。
丸山ケルンを過ぎれば唐松岳頂上山荘までもうすこし。道の先にある丸い山頂の向こう側にある(はず)唐松岳頂上山荘、そしてその右には唐松岳山頂が見えます。
2月厳冬期の唐松岳山頂にこの人集り(驚!
これ読んでくださっている人、簡単に行けるだなんて安易に行動起こさないでくださいね、ほんとたまたま良い天気で大当たりだっただけなので…
唐松岳頂上山荘の真裏のこのピーク、夏道ではこのピークは(基本的に)超えずに左側を巻道で山荘へ直行できるのですが、冬道はここを超えます。すると…
唐松岳頂上山荘のヘリポートに登ってきます。ここを右へ行くと唐松岳山頂です。
そして立山三山から剱岳!唐松岳頂上山荘からの眺めといえばこれでしょ(^^)
そして五竜岳、牛首の通過は怖かったなぁ…
ということでザックをデポさせてもらって、唐松岳山頂へ向かいます。
荷物も軽くなればサクっと登れる。
お!
冬の唐松岳2,694mなりぃ!
いい眺めだなぁ… 先生登っちゃったよ厳冬期の唐松岳…
2月の後立山連峰からの大展望
昨日の唐松岳、勝利動画を少しだけ先出し。 pic.twitter.com/JIvkFv5yjw
— たけめ まえかわ@波よ来い 6発程来い (@maekawamaekawa) February 25, 2019
南側から時計回りにご紹介。まずはお隣の五竜岳。五竜岳もかっこいい山体してる。というか牛首超えて五竜岳まで踏み跡あるじゃないか(*_*)
五竜岳の奥には、前穂高岳から吊尾根、そして奥穂高岳、北穂高岳。大キレットからの槍ヶ岳。
左から、野口五郎岳、針ノ木岳、鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳。
中央のなだらかな場所は雲ノ平かな?そして右側のピークが薬師岳。
10連休中がゴールデンウィークじゃなかったら行けたのに。でも今年は雪が少ないから、もしかして行けたりして…まぁさすがに雪崩が怖いから無理かな。
これは立山三山、雄山〜大汝〜富士ノ折立、別山。
剣御前からの前剱、そして剱岳!今年は是非登りたい。
きれいなシンメトリーになってるこれは、猫又山、釜谷山、毛勝山。総称して「毛勝三山」と言うそうで。山頂で教えてくださったお兄さんありがとうございます。
そして不帰ノ嶮からの白馬鑓ヶ岳、杓子岳、そして白馬岳。
東側には、
焼山から火打山かな?
たぶん妙高山
乙妻山と高妻山
蓼科山から最高峰の赤岳など八ヶ岳オールスターズ!
美ヶ原高原の王ヶ鼻の奥には富士山。
相変わらずすごい眺めだな唐松岳は。
こんな時期なのに風がとても穏やかで全く寒くない。しばらくマッタリと景色を眺めてました。そういえば日本海も見えてたな。
もっと眺めてたいけれどリフトの終了時間もあるので、名残惜しいけれど下山しましょう。
こんな好天の後立山連峰はなかなか来れないはず。ほんといいタイミングで登れてよかったなぁ♪
のんびりし過ぎてザックは3個のみ。かなり長居してたんだ(^^;
ヘリポートからは、唐松岳では見えなかった鋸岳、甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、塩見岳など南アルプスも一望できる。
中央アルプスもバッチリ。空木岳とかまで縦走してみたい。
とまぁ本当に素晴らしい景色、でもここで剱岳とはお別れ。
この景色を心に刻もう。
さぁ、気をつけて帰ろう…
西へ傾いた太陽の明かりは、不帰ノ嶮の見え方をずいぶん変える。
こんな絶景だから全然下れない…
鹿島槍ヶ岳が再び見え始め、
白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。
白馬三山の縦走もしたいなぁ…
まだまだ登ってみたい山がいっぱいだ。そして無事下山したのでした。
本当に良い天気に恵まれた冬の唐松岳登山。今年は雪がとても少なくて、そういった意味でも難易度的に恵まれたかもしれません。
ただこれは、冒頭にも書きましたが、本当にこれは大当たりな天気だったからできた事。厳冬期の後立山連峰は本当に容易く死にます。もし厳冬期にチャレンジしようとする人は、十分な経験を積んだ人と一緒に行くことを強くオススメします。
しかしそれと引き換えに、もし好天を引き当てたら今回のような素晴らしい景色と充実感を手に入れる事ができます。
「とても危険だけど美しい」これが冬山の悪魔的な魅力なんだろうなぁ。
【参考リンク】島崎三歩の「山岳通信」