登山、トレッキング

【2017年(平成29年)山岳遭難】集計された数字から見える傾向とその対策。

まずは、2018年5月に新潟の五頭(ごず)連山に入山し、お亡くなりになった親子お二人のご冥福をお祈りすると共に、ご遺族に対してお悔やみを申し上げます。また捜索に参画された関係者の皆様におかれましては大変お疲れ様でございました。
警察庁 遭難集計
この報道の中には、確か「ビバークする」という連絡があったとしていたので、父親は登山経験者で何とかなるんじゃないのかなぁって思ったのですが... お子様も怖かった事でしょうし、父親もさぞ無念だったでしょう。

個人的にとても気になっていたので、とても残念な結果となってしまったのがもう何とも…

ニュースになっていた当時は、まだ2016年(平成28年)の集計しかありませんでしたが、いつの間にか2017年の集計が上がっていましたので、ブログ主的にまとめてみました。

※遭難してしまったらどうする?という事は、また別の機会に。

全体の傾向:2017年(平成29年)遭難者数は3111人

まずは遭難全体の傾向ですが、残念ながら2018年(平成29年)も昨年対比で200人近く増加してしまいました。

平成29年度 山岳遭難事故 集計表

出展:山岳遭難・水難|警察庁Webサイト

年々増加している遭難人数は、2017年(平成29年)は過去最悪の3,111人を記録しています。また死者数も毎年270人前後で推移しており、残念ながら全遭難者の10%が帰らぬ人となっている現状です。

データにトレンド線も加えてみましたが、特に遭難と負傷者件数が増加トレンドになってしまっているのが残念です。

遭難の原因:ワースト1位は道迷い!

個別に見ていきます。まず遭難原因での集計ですが、

態様別山岳遭難者 一覧表

出展:山岳遭難・水難|警察庁Webサイト

遭難の原因別では、道迷いが遭難理由のワースト1位、全体の4割もの割合を占めています。続いて滑落・転倒の順番で、

  1. 道迷い 40.2%
  2. 滑落 16.8%
  3. 転倒 15.1%

このワースト3位で遭難件数全体の70%以上を占めています。逆にここを対策すれば7割も減らせると。

単独登山者は事故を起こすと厳しい事態に。

さらに3,111人の中の34%が単独登山者ですが、

単独行動での遭難者数

出展:山岳遭難・水難|警察庁Webサイト

死者数だけをピックアップすると全体315人中179人(約57%)が単独登山者の死者、遭難死者数の半分以上が単独登山者という現状があります。

単独登山の危険性

単独登山で事故が起きた場合の危険性は、起こってしまった事故に対して、独りで対処すること自体が難しいのは想像に固くありません。

遭難者の7割以上が年齢層50代以上

続いて年齢層から見た遭難者ですが、

年齢別 遭難者数

出展:山岳遭難・水難|警察庁Webサイト

50代以上の人が、全遭難者数の7割もの割合を占めており、2018年(平成29年)の死者・行方不明者数をピックアップすると354人中292人(82.4%)が50歳以上の人となっています。

気になる数字

30代と40代の差は4人ですが、40代と50代の差が40人に激増。

これは年齢による体力の衰えや病気(持病)が主因と想像できそうなのですが、実際はどうなのでしょう?

遭難しないようにする事、できる事

長野県警山岳救助隊

2018年お盆、奥穂高岳方面へ救助に向かった防災ヘリ。

それでは、遭難したいためにどうすれば良いのか、2017年(平成29年)の傾向からブログ主なりにまとめてみました。

  1. 道迷い対策に地図、特にGPSの携行を!

    遭難原因のワースト1位で、全体の4割を占める「道迷い」。これにはGPSの携行を強くオススメします。
    例えば、ブログ主も使わせてもらっているYAMAPのGPSのアプリはスマートフォンに無料でインストールすることができ、およその現在位置を把握するのにはとても有用です。


    使い方も簡単でGPS精度も全く問題ありません。必ず導入しておくべきアイテムです。

    歩きスマホ厳禁!

    と、現在位置を把握するのに便利なスマートフォンですが、画面を見たまま登山したりスマホで動画を撮りながら歩いている人を見かけます。当然歩きスマホは登山でも大変危険です。実際に転倒した人を見たことありますし…

  2. ソロ登山は俄然慎重に!

    ひとりでの山登り、ブログ主もしょっちゅう行っています。行くのも止めるのも気のままに決められるんですよね、ソロって。でもそれは、例えば怪我をして動けなくなり、その場所が携帯の電波が届かないなどの連絡手段が使えない場所だったら、厳しい状況へ向かってしまうことも容易に想像できます。。

    また登山中、特に下山中に、例えばちょっと離れた石や岩にヒョイっと飛び乗ろうとする人を多々見かけるのですが、転倒や滑落の危険性大!大変危険です!これ集中力が切れるとやっちゃうんですよね…。

    ブログ主
    ブログ主は重太郎新道の下山時にコレでズルっとやってしまい、超怖い思いした事あります。

    転倒・滑落はこれを注意するだけで結構防げるだろうと想像しています。特に人の少ない山域でのソロ登山は余程慎重に!
  3. 自分の体力に合った山行を!

    数字上は50代以上になると急激に遭難数が増えていますが、別に50代以上の人だけが注意することではなくて、全ての人に当てはまる事でしょう。

    step
    1
    自分の体力・体調や経験に見合った登山コースを選択!


    運動不足の人が、例えば突然アルプスへ登山に行ってもきっと辛い思いをするだけでしょう。ちゃんと体力や体調を整えて挑みましょう。

    step
    2
    日程に予備日を設けるなどして余裕を、その分の装備や食料を準備!


    日程(特に帰りのバスや電車)に追われる可能性がある場合、ギチギチで計画を立てると取り返しのつかない失敗に繋がります。余裕のある登山計画が大切です。
  4. 登山届(登山計画書)の提出!

    登山届(登山計画書)を必ず作成して、家族や職場、登山口の登山届ポストなどに提出するようにします。一緒に登山する人と情報を共有しておくのも大切ですね。

    ブログ主
    特にソロの場合は情報を出しておく必要がありますよ

以上、集計された数字から見た傾向と対策をブログ主なりにまとめてみたのですが、これらは前からずっと言われ続けている事ばかりで、目新しいことは特にありません!

これら「当たり前の事」を「当たり前として守る」ことが、悲しい出来事からの回避にとても大切だと、これら数字は教えてくれていると感じています。

みなさんはどう思われますか?
【関連リンク】岳遭難・水難|警察庁Webサイト

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